修理してもらいたいけど、何を連絡したら・・・。


遠方からご来店いただく前や、送付で修理の依頼をされる前に、電話やメールでご相談いただき ますが、まずは下記の項目をわかる範囲で教えて下さい。

 ① 種類 (腕時計・掛時計・置時計など)
 ② メーカー
 ③ モデル名 (手巻き・自動巻き・クオーツ、日付表示の有無など)
 ④ 購入した時期 (○○年頃)
 ⑤ 故障の経緯 (自然に止まった・落とした・水没した など)

また、他の時計店などに持ち込んで、機械の不具合の内容を教えてもらっていれば、その内容も教えて いただければ、修理の可否や見積もりの判断材料にさせていただきます。もちろん、以上の項目全てが わからないと修理の受付をしない訳ではありません。できる限りの情報をいただくことで、より精度の 高い修理費用の見積もりや修理可否の判断ができるようになります。

実際の費用については、現物確認後に変更になる場合がある点は事前にご了承願います。

※ 偽造品(偽物・コピー商品)の修理はお受けできません。



   オーバーホール(分解掃除・OH)って何するの?必要なの?


『オーバーホール』とは、時計を分解して洗浄・調整・注油・再組立を行うことです。

時計の内部には多くの部品が使用されており、部品同士の磨耗を防いだり、滑らかに作動させるために、 潤滑油(オイル)が含まれています。その潤滑油は年月を経ることで、飛散したり、劣化したり、内部の 磨耗粉やゴミと合わさって粘りを生じたりします。それが部品の動作にとって抵抗となり、時刻の遅れや 時計の停止につながっていきます。

長期間動かされていない場合など、油分の少ない状態で動かそうとすると、場合によっては部品に無理な 力がかかって破損や摩耗を招くこともあります。

   クオーツ時計のオーバーホール?


クオーツ時計は電池の時計。オーバーホールって何するの?と思われる方も多いようです。

確かに心臓部は電気の力を使っていますが、アナログ時計(針の時計)は、その動力をいくつかの 歯車を用いて力の伝達を行い、針を動かしています。また、時間を合わせたりするリューズの部分も可動する部分です ので、油分が劣化・減少することで動きが悪くなることがあります。

このようにクオーツ時計にも「機械部分」が存在するため、手巻きや自動巻きの電池を必要としない時計と同じように 機械部分の油分の劣化や減少が抵抗となって、時間が遅れたり、最悪の場合、止まったりするようになります。

※電池の時計は「音叉時計」や「トランジスタ時計」などの種類もあり、厳密に言うと電池時計は「ク オーツ時計」だけではないのですが、現在販売されているタイプのほとんどは「クオーツ時計」 ですので、この項目では上記表現を使用しています。


   時計の時間精度(誤差)について


腕時計の場合ですと、機械式(ゼンマイ式)は新品時の静止状態で、1日(24時間)経過後の誤差は±5秒~±45 秒ぐらいで調整されて出荷されています。
新品時の誤差の数値は、その構造やモデルによって個々に設定されています。
1週間使用していれば、それぞれ±35秒~±5分15秒の誤差が発生する計算になります。

この誤差は時計の姿勢(置き方)によっても変化しますし、ゼンマイが緩むことによってその力も刻々と変化しながら 動いていますので、時間精度も同様に変化しながら動いていることになります。 さらに、腕に装着して腕が動けば、中の部品の動きが乱されて、時間精度に影響を及ぼします。

つまり、ある置き方で時間をぴったりに合わせたとしても、置き方を変えたり、持ち歩けば時間にずれが生じることに なりますので、どのような環境でもぴったりの時間に合うように調整することは困難です。

また、使用していると部品が摩耗してガタ(すきま)が大きくなったり、部品や油分の経年劣化が影響して、時間精度 は悪化していく傾向にあります。

ちなみにクオーツ(電池)時計の新品時の許容誤差は、一般的なもので1ヶ月(約720時間)で±30秒。高価なもの では1年間(約8760時間)で±10秒と、機械式腕時計の比ではない時間精度です。


   新光時計店について


【日本最古の時計店?】

あくまで「”現存する中で”最も古い時計店ではないか」と言われているだけです。
メディアで上記のように紹介されだしてからかなり経ちますが、当店では真偽のほどは確認できておりません。
当店初代も神戸の時計屋さんで勉強してきたということです。

【古い部品が尽きたらどうするの?】

当店が島にあるからでしょうか、完全に独立していて、過去の在庫部品と新規製作部品のみで修理をしていると思われている方も多いようです。
当店紹介のページにも書いておりますが、当店は「田舎の普通の時計店」です。現在も時計メーカーさんや部品屋さんなど の協力があって、販売・修理をしております。また、アンティーク専門店でもありません。
みなさんの気にされる当店にある過去の古い在庫部品は、なかなか修理の時計と合うものがないもので、使う機会はそう多く ないですね・・・。よく使う部品は、当時よく使われていてなくなっているものも多いです。
また、現在の技術で性能の良い部品があったりしますので、そのような場合は、無理に古い部品を使わない場合もあります。

【時計メーカーで断られた時計がどうして直せるの?】

最もわかりやすい例が、メーカーにない部品があった場合でしょうか。当店のような古い店にある場合や流通在庫ですね。
他には、他機種の部品流用や部品メーカーが製作している部品が使用できる、元の部品を加工調整して使用できる、などです。
メーカーによっては、並行輸入品や海外で購入された製品も断られることもあるようです。 時計メーカーさんにもお受けできない事情がいろいろとございますので、その点ご理解ください。

【どんな時計でも直せるの?】

残念ながら、直せない時計も多くあるのが現状です。
全体にサビが出てしまって分解すら困難な場合、全体的な痛みがひどい場合、必要な部品の調達ができない場合、プラスチッ ク製で分解することが困難な場合など、原因は多岐に渡ります。
部品の製作についても、材料・設備・技術などから全ての部品に対応できるわけではありません。「新光時計店さんに断られ たらあきらめます」ということもよく言われるのですが、日本を探せば、当店ではできない修理を行われているところも多く あります。もちろん店ごとに得手不得手もあります。メディアでは、過大な表現をされてしまうことがあるので勘違いされて しまうこともあるのですが、日本中にいろいろなお店がありますので、当店で修理できない時計でもあきらめずに持ち続けて いただきたいと思います。